コンサルタント業界の転職支援に強みを持つ転職エージェント企業・アクシスコンサルティング株式会社が、3月6日にメディア向けラウンドテーブルを開催。同社が株式会社StartPassと共同で昨年9月にサービスを開始したCxOポジションの副業マッチングサービス「CxO-Pass」の紹介のほか、スタートアップのCxO採用における最新動向の解説、CxO育成のエキスパートをゲストに招いたトークセッションなどが行われました。
スタートアップでニーズ高まるCxOポジション
CxOとはCOO(Chief Operating officer/最高執行責任者)、CFO(Chief Financial Officer/最高財務責任者)、CTO(Chief Technical Officer/最高技術責任者)など、CEO(最高経営責任者)のもとで企業の経営課題に取り組む特定分野の最高責任者のこと。昨今ではCISO(Chief Information Security Officer/最高情報セキュリティ責任者)、CBO(Chief Branding Officer/最高ブランディング責任者)、CRO(Chief Revenue Officer/最高収益責任者)など、求められる役割に合わせて年々新たなポジションが生まれています。
執行役員や部長が各部門を束ねる従来型組織と比較すると、執行役員や部長は「担当領域の事業運営をまとめる責任者」であるのに対し、CxO型組織のCxOは「経営視点で担当領域の課題に取り組む責任者」であるのが両者の違い。CxOポジションには業務面の専門性に加えて経営的な視点を持つことが求められます。

この日のラウンドテーブルで最初に登壇したアクシスコンサルティング株式会社(以下、アクシスコンサルティング)代表取締役COOの伊藤文隆氏は、まず初めに大手コンサルファームに所属するコンサルタントの4人に1人が登録しているという同社のサービス説明を行った後、次にこの日のテーマである「スタートアップのCxO採用」の現状を解説。
「労働人口が減ればビジネスリーダーの数も必然的に減ります。そうした中でCxOのポジションを社内に置きたい企業があっても、圧倒的に需給のバランスが取れていないのが今の課題です」と話した上で、「スタートアップだけではなく、大手企業の多くでもCxOを確保できておらず、現在50代の我々世代に比べて大学生の数が半分しかいない現状から予測すると、10年後にはこのバランスがさらに崩れていくと考えられます」とCxOポジションを担える人材の枯渇に対する強い危機感を述べました。
シード期からCxOを置きたいスタートアップ企業は多い
続いて株式会社StartPass(以下、StartPass)でCOOを務める早川浩之氏から、スタートアップにおけるCxOポジションの採用実態と最新動向について、同社がスタートアップを対象に実施したアンケートの集計データ等を交えた詳しい解説が行われました。

スタートアップの成長を「創業」「シード(会社設立前後)」「プレシリーズA(事業のプロトタイプ段階)」「シリーズA(事業開始初期)」「シリーズB(事業の拡大)」という5つのラウンドに分けた場合、「『プレシーズンA』を境にCxOポジションの数が一気に増える傾向にあり、特にCTO、COO、CFOの需要が高い」と語る同氏。
しかし、回答企業にCxOのニーズについて尋ねてみると「少しギャップが見えてきた」そうで、「潜在的なニーズとしてシード期の時から優秀な方に出会えればCxOのポジションを置きたいというスタートアップ創業者は多い」との解説も。併せて同社が調査した約1万社のスタートアップのうち、昨年国内で約5850件ものCxOポジションの募集があったことも紹介され、業界内における同ポジションのニーズの高まりを知ることができました。
スタートアップ企業が求めるCxOポジションの資質とは?
後半は、アクシスコンサルティングの伊藤氏がモデレーターを務め、EDiX Professional Group代表の江戸川泰路氏とSmartPass代表取締役ファウンダーCEOの小原聖誉氏をゲストに招いた三者によるトークセッションを実施。

まず初めに「スタートアップが求めるCxOの要件」について二人に尋ねた伊藤氏。
それに対し、大学発ベンチャーの立ち上げに数多く携わった経験があり、2019年に現在の会社を起業後はスタートアップ支援やCFO人材育成にも力を入れる江戸川氏は、まずCxOに求められる共通の資質として「コミュニケーション能力」「課題可決力」「リーダーシップ」の3点をピックアップ。さらにスタートアップ特有の要件として「経営ビジョンへの共感力」「アントレプレナーシップ」「高い専門性と人脈」の3点をあげて次のように話しました。

「スタートアップのCxOはそこまで経験してきたものや持っているスキルが重要になるので、優秀そうな人や地頭が良さそうな人というより、専門性を持った即戦力が求められています。また、スタートアップが人を入れる時は“ひと視点”ではなく“こと視点”なんですよね。だから、会社を立ち上げたばかりでたくさんある課題を解決できる人を探しているという側面は強いです」
一方、起業家・投資家として活躍し、2021年に「日本をスタートアップしやすい国へ」をビジョンのもとSmartPassを創業した小原氏は、日本のスタートアップ起業者は初めて起業する人の割合が95%以上という数字を示しつつ、「熱い思いで独立しても自分と同じ温度感で働いてくれる人はなかなか見つからない」という“スタートアップあるある”を指摘。その上で、アクセンチュアのコンサルタントだったCOOと当初3ヶ月限定の業務委託で契約し、昨年の上場までに至ったタイミーを例にあげながら「特に創業から3年間のCxOは、創業者と熱い気持ちでハードワークできる人であることが大切です」と答えました。

続いてテーマは「CxOのシェアリングや副業の可能性」という話題に。これに「極めて有効だと思う」と答えた江戸川氏は、研究者主導で経営者不在のまま起業し、研究開発から事業化までの道のりが長い大学発ベンチャーを例にあげながら次のように回答。
「初めは赤字続きのような会社が優秀な経営者をフルコミットで迎えるのは難しく、仮にフルコミットでやってくれるという人が現れてもその人が会社の成長にベストな経営者かといえば、そうじゃない可能性が高いでしょう。そうした際に経験豊富で高い専門性を持っている方が副業で関わってくれたら非常に助かりますよね」
一方で、この意見に共感した小原氏も「優秀な方は年収が非常に高く、たとえミッションに共感するスタートアップに出逢ったとしても、家のローンや家族のことを考えると転職して経済条件を落とすことはなかなかできません」とし、まずは副業かジョインするメリットを強調。「副業から始めることで、働く側は会社との相性が確認できます。経営者にとっても年俸の高いCxOポジションのスキルをフルコミット前に他の社員に知ってもらうことができるので、受け入れる側と入る側の双方にとってハッピーな世界観を作ることができます。それはいきなりの転職ではできないことなので、副業でのスタートは本当に有効だと思います」と話しました。
副業CxOとのマッチングを支援する「CxO-Pass」
その他にもCxOポジションを副業人材で見つけるメリットが数々示されたこの日のプログラム。全体の途中には、伊藤氏からCxOポジションの副業マッチングサービス「CxO-Pass」の紹介も。「当社が持つ現役コンサルタントのデータベースとStartPassさんが持つスタートアップ企業のデータベースを活かしたマッチングを提供できるのが我々の圧倒的な強み」と自信を伺わせた同氏は、同サービスの具体的な特徴として「未公開のCxO求人に出合えること」「ファウンダーと面談ができること」「副業で相性確認ができること」の3点をアピール。

その上で、同サービスに登録しているCxO候補者の約6割が30代であり、実際に同サービスを通じて副業CxOをしている人の平均勤務時間は週8時間、平均収入は20万円という数字も紹介され、「30代のうちにCxOの経験ができることは大きなこと。20代、30代でCxOを経験できるのはスタートアップだからこそなので、そういった年代のCxOが増える人材プールを我々の手で作っていきたいです」と話しました。
即戦力のCxOポジションを探しているけど優秀な人材がなかなか見つからないというスタートアップ経営者、および反対に、自分の経験を今より責任のあるポジションで活かしたいと思いつつも、いきなりスタートアップの環境に飛び込むのは及び腰という人は意外と少なくないはず。そんな方々は「CxO-Pass」を通じて素敵なマッチングを探してみては。
「CxO-Pass」公式ホームページ
https://www.axc.ne.jp/cxopass