武蔵野⼤学は、2026年4⽉に新たな研究科「ウェルビーイング研究科」が武蔵野キャンパス(東京・有明)に開設することに先立ち、「ウェルビーイング研究科」開設に関する記者発表会と「AI時代に求められる『幸福』を追求する学び」をテーマとしたトークセッションを開催しました。

ウェルビーイング(Well-being)とは、身体・精神・社会といったあらゆる面において良好な状態、すなわち幸福であることを表す概念のこと。身体が良好な状態にあるだけでなく、精神的にも社会的にも満たされていることを言い、もともとは、1946年にWHO(世界保健機関)がWHO憲章で示した、「健康」の定義の中に登場した言葉です。

厚生労働省では2019年1月に開催された雇用政策研究会報告書の中で“「ウェル・ビーイング」とは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念。”と定義しており、より多くの人が生き生きと活躍できる社会の実現を掲げています。今年101年目を迎える同大学では来年4月、国内初の研究科を開設します。

学⻑の⼩⻄聖⼦氏は冒頭で、「戦争や飢餓がつねに存在してきた。不公正や差別も世界中にある。また日本の中にも犯罪被害や災害が絶えないもの。 その中でより良い状態、ウェルビーイングを掲げることは、大学として強いメッセージを発することになると考えてる」を語りました。

続けて「この新しい研究科は学生だけでなく、働く方、社会人の全ての方に開かれている。製造でも金融でも サービスでも、あるいは農業でも、どの分野であっても、自分の仕事は人のウェルビーイングにどうつがるのかを問い直すことができると思う」と社会人に向けてアピールしました。

また、武蔵野大学ウェルビーイング学部長の前野隆司教授は、「本研究科が目指しているのは、近代資本主義社会の限界を突破するため、ウェルビーイングな社会への転換を先導する人材の育成と、そのためのウェルビーイング学の発展を担うことだ。自然科学、社会科学、人文学を駆使して、産官学連携のもと、人類の理想というべき、みんなが幸せな社会を目指していく」と新研究科創設に向けた抱負を語りました。

その後行われたトークセッションでは、ゲストスピーカーとして株式会社⽇⽴製作所 フェロー/株式会社ハピネスプラネット代表取締役CEOの⽮野 和男⽒が出席。「この数年で起きている大きな変化は、雇用の流動性だ。そもそも若者も同じ所に一生働こうなどと最初から思っていないし、反対に我々も今までならおそらくは採らなかったであろう50代の、AIもやっていなかった人を採ってみたら、今ではもう中心的な開発者になっている」と実際の事例を踏まえ、「いわゆる終身雇用とは違うという意味でも前提がもうまさに変わっている。ぜひそういう意味でも、これ(ウェルビーイング学)を成功させていただければと思う」と説明しました。

また⼩⻄学長は、「こんなに変わっている社会の中で若い人にいろいろなことを教えていると、やはり人の役に立つということが本当にその人を支える。そういう中で何かができると、人はすごくモチベーションが上がるもの。今回新研究科ができるということで、ぜひ社会人の方にたくさん入っていただきたいと思う。学びたい時に入ってウェルビーイングのことを考え直して、あるいは元々の自分の仕事に活かすこともできるし、研究をさらに進めることもできるので、柔軟に使っていただけるといいと思う」と呼びかけました。

「ウェルビーイング研究科ウェルビーイング専攻」の入学定員(収容定員)は、修士課程が20人(40人)、博士後期課程が5人(15人)。授与する学位は、修士課程が修士(ウェルビーイング)、博士後期課程が博士(ウェルビーイング)。開設時期は、2026年4月1日。設置場所は、武蔵野大学武蔵野キャンパス(東京都西東京市一丁目1番20号)。