日本イーライリリー株式会社と田辺三菱製薬株式会社は、肥満症の啓発を目的とした一般生活者向けイベント「『その肥満、肥満症かも!』プロジェクト in 秋田」を、2025年10月31日(金)から11月2日(日)までの3日間にわたってイオンモール秋田で開催。
肥満症は“ただ太っている状態”を意味する「肥満」と異なり、医学的に減量が必要な状態を指す疾患です。「その肥満、肥満症かも!」プロジェクトでは、肥満症に対する正しい理解の輪を広げるとともに、その危険性を啓発するための取り組みを行っています。
今回は秋田で行われた本プロジェクトのイベントに参加し、展示内容や担当者の声を取材しました。
肥満症の負の連鎖を“ドミノ倒し”で表現
会場の中央には、「メタボリックドミノ」をイメージした“ドミノオブジェ”の展示がされていました。

肥満症は「遺伝」や「胎児期の栄養状態」、「摂取エネルギーと消費エネルギーのバランス」、「ライフスタイル」、「ストレス」などさまざまな原因が関わりあっています。

肥満がもたらす合併症は、まるでドミノが倒れるように脳卒中や心不全など、命にかかわる深刻な病気につながる可能性があり、そうした危険性を啓発する意味でドミノオブジェを展示しているとのこと。
また、肥満と違い、肥満症は治療が必要な疾患です。BMIが25以上で、以下の11の疾患から 1つ以上あてはまるものがある場合は肥満症の恐れがあります。

・耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
・脂質異常症
・高血圧
・高尿酸血症・痛風
・冠動脈疾患
・脳梗塞・一過性脳虚血発作
・非アルコール性脂肪性肝疾患
・月経異常・女性不妊
・閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
・運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節、手指関節、変形性脊椎症)
・肥満関連腎臓病
肥満症治療では、肥満を原因とする健康障害の予防・改善を目的として「食事療法」や「運動療法」、「行動療法」を行います。それでも目標を達成できなかった際には薬物療法や外科療法の実施を検討し、減量に取り組みます。

「肥満」と「肥満症」の区別がわかりづらいため、会場奥には、両者の違いが楽しく学べる学習コンテンツが用意されており、クイズに答えることで理解を深めることができる工夫がなされていました。
「肥満症は自己責任」という偏見をなくす

「その肥満、肥満症かも!」プロジェクトは今年から始動した取り組みで、秋田の前は岐阜でもイベントを実施したそうです。こうした地道な啓発を繰り返すことで、「肥満症になるのは自己責任」というイメージの払拭につながるのかもしれません。
今回、秋田でイベントを実施した背景には、次のような事情があると、イベント担当者が教えてくれました。
「秋田県は全国的に見ても肥満割合が高く、20歳〜69歳のうち31.2%が肥満とされています。こうしたなか、秋田県では健康長寿社会の実現のため、『第3期健康秋田21計画』を掲げ、健康寿命の延伸を目的とした健康づくりを推進していることから、秋田県民の不健康リスクを鑑みて今回のイベント実施に至りました。
まずは実際に『肥満』と『肥満症』の違いを知ってもらい、肥満症に対する正しい理解が進むことで、肥満症のある人が生き生きと活躍できる健康的な社会の創造を目指していければと思います」(イベント担当者)
本イベントが単なる「肥満」と治療が必要な「肥満症」の違いについて理解を深める一助となるとともに、今後も継続的な啓発活動を通じて肥満症に対する誤解をなくし、一人ひとりが健康に前向きに取り組める社会の実現が期待されます。