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EY Japanが女性アスリートのセカンドキャリア構築支援プログラム「WABNアカデミー」第3期閉講式を開催

EY Japan では、ビジネス分野への進出やリーダーシップスキル向上に意欲的な女性アスリートを対象としたプログラム「WABN アカデミー」を2021年から実施しています。
※「WABN」は「Women Athletes Business Network」の略称

アスリートの世界で研鑽を積んできた女性たちが、ビジネス界へのキャリア転換を目指し、プロフェッショナルによるセッションや1on1 メンタリング、グループワークなど、6 カ月間の実践的なプログラムを通じて、ビジネスシーンで求められるスキルを学んでいきます。

2023年10月には「第3期 WABN アカデミー」が開講。そして2024年4月12日には、EY Japan 本社にて、第3期を締めくくる閉講式が行われ、女性アスリートがチームを組んで作り上げた“ビジネスプラン”を発表する会となりました。

ビジネスをやる上では“夢”を持つことが重要

冒頭ではEY Japan WABN リーダーの佐々木 ジャネルさんが登場。

スポーツで学んだ経験と、ビジネスの世界で得られるものには共通点があると佐々木さんは語り、「WABNとの繋がりは一生の財産。会期中で得た知識や学び、発見を活かして、新しい挑戦やコラボレーションに取り組んでほしい」と3期生の女性アスリートの背中を押しました。

次いで、EY Japanに所属するパラスポーツ選手の富田 宇宙さんが登壇。

社会人として働くなかで「アスリートならではの感性や力に、大きなポテンシャルを感じている」と話し、「新しいスポーツに挑む気持ちで、ビジネスにも取り組む気概を大事にしてほしい」とコメントしました。

そして、ビジネスをやる上では“夢”を持つことの重要性についても触れ、自分の活動がどのように社会へ役立つのかを考えていくことが原動力になるとアドバイスを送りました。

アスリートで培った経験や知識を子供たちに共有したい

「アスリートと DE&I」によるパネルディスカッションに続き、WABN アカデミー3期生によるグループワークの最終発表が行われました。

TeamC|Share Your Experience
メンバー:坪内萌花さん、廣瀬花子さん、横尾千里さん

TeamCは、アスリートとして目標を掲げ、結果を残してきたこと。そして、長く夢中になって競技を続けてきた面白さや楽しさを多くの人に知ってもらいたい。

そうした思いから、「未来のある子供たちに、アスリートで培った経験や知識を共有していくこと」を考えたそうです。

アスリートが夢や目標に向かって頑張っていく過程で、やる気や自信が持てたり、自分の考えやコミュニティの大切さに気づけたりしたように、柔軟な吸収力を持った子供たちに、新たな発見につながる体験を提供したい。

このようなビジョンを持って考えたのが、小学生の子供たちに向けたスポーツ体験会です。

立ち上げ当初は1回の参加費を500円など、参加しやすい価格にするほか、ビジネスの思いに共感してくれるスポンサー企業を募ることや、補助金の活用を通して、必要経費に充てていくことを考えているそうです。
将来的には回数を重ねていくうちに、各種アスリートやスペシャリストの講師によるコンテンツを充実させたり、実施地域の拡大を視野に入れていると述べ、プレゼンを締め括りました。

グループワークの講評を務めたのはEY Japan チーフ・ブランディング・オフィサーの榎本 亮さん。

榎本さんは、プライシング(価格戦略)はもっと高い方がいいと伝え、「事業で得られたノウハウやイベント開催の知見を、FCモデルとして展開していくと面白いのでは」とコメントしました。

「Or」ではなく「And」に。女性アスリートのウェルビーイングを考える

TeamB|女性アスリートのウェルビーイングを実現するマッチングアプリ
メンバー:竹村 幸さん、土屋美咲さん、丸茂 圭衣さん

TeamBは、選手時代に悩んだことや困ったことを共有し、そこから「女性アスリートのウェルビーイングのために何ができるか」を切り開いていったそうです。

色々と悩みがあるなか、競技とライフイベントの両立の難しさに着目。

男性アスリートよりも女性アスリートの方が体の変化があることや、結婚、出産といったライフイベントを意識すると、競技に集中できなくなるという課題が浮き彫りになりました。

そこでTeamBのミッションに掲げたのが「Or」ではなく「And」に変えていくこと。

競技を取るか、結婚を追い求めるのかではなく、そこをうまく両立していける仕組みを作っていくことが大事なのではという考えに至ったそうです。

TeamBの友人である日本代表レベルの女性アスリート30名にアンケート調査したところ、「現役中にもパートナーが欲しいと感じている」と答えた人は約9割と、アスリートの恋愛事情が見えてきたとのこと。

こうして事業プランに行き着いたのが、マッチングアプリ「スポ恋」です。

アスリートの身バレを防ぐ、心理的安全性が担保されたサービスとして提供していくそうですが、アスリートに限定すると市場が小さくなることから、「スポーツ好きのためのマッチングアプリ」という建て付けで事業を作っていきたいとのこと。

サービス設計の肝となる身バレ防止やトラブル防止には、入会時の身元証明書や収入証明書、独身証明書といった書類を提出することが重要だと、結婚相談所にアドバイスをいただいたそうです。

事業展開については、スポーツ団体との連携や会社の福利厚生などを狙っていきながら、「初デートはスポーツ観戦」などのシチュエーションを作ることで、共通の話題で盛り上がれるような工夫をしていきたいと述べました。

発表後の講評について、榎本さんは「すごくマーケティングのアプローチとして正攻法で取り組んでいるのは好評価だった。マッチング部分でAIを活用する部分については、他社とアライアンスを組むのも一手だと思う」と意見を示しました。

“スポーツ版キッザニア”で子供たちの生きる力を育む

TeamA|スポーツと子供の関係性から考えた「スポーツ版キッザニア」

TeamAが捉えた課題として、 コロナで学校に行けない日々が続き、体を動かす機会が減ったり、マスクをしていてクラスメイトの顔がわからなかったりと、人との関わりや協調性、 生きる力が低下しているというものでした。

また、親が子供にスポーツを習わせたいと思っても、何が子供に向いているのかがわからないという課題もあります。

そんななか、子供を持つ親の方にアンケートを取ったところ、「1つの場所でたくさんのスポーツができる環境があれば参加したい」という回答が多く得られたそうです。

スポーツ版キッザニアでは、子供たちにスポーツ体験の場を提供するという事業プランになっています。

対象は小学生で、3種目40分ずつの体験で1人2000円。月に1回の開催で、年間のサブスクリプション契約と、イベントの趣旨に賛同する企業からのスポンサー費用を考えているそうです。

「目標に向かって努力する大切さは、好きなスポーツに巡り合えたから」

そう語るTeamAのメンバーは、こうしたスポーツ体験の場を提供することにより、自発的に子供たちがスポーツに取り組み、楽しみながら生きる力を育めるサービスを目指したいとのこと。

審査員の榎本さんは、「プライシングの部分はもっと単価を上げた方がいいと思ったが、保険料というビジネスのリスクに焦点をあてているのは良いと感じた。さらに発展性を考えるなら、体を動かすスポーツだけではなく、eスポーツなども取り入れると、参加者も増えるのではないか」と意見を示しました。

また、会場には、アスリートからビジネス界への転換に向け、アスリートとともに、6 カ月間を共にしたEYJapanのメンター(講師)や、第一期生、第二期生、グローバル版のWABNプログラム修了生も参加し、参加者たちは、ビジネスにおいて重要となるコミュニケーションを深め合うとともに、会場は熱気に包まれ、幕を閉じました。

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