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地域と大学が健康とスポーツでLINK! 國學院大學人間開発学部「第10回 地域交流スポーツフェスティバル」が開催

國學院大學人間開発学部・地域ヘルスプロモーションセンターが主催する「第10回 地域交流スポーツフェスティバル~LINK 未来へつなぐ笑顔のバトン~」が、10月19日に神奈川県横浜市の同大・たまプラーザキャンパスで開催された。本イベントは、学生主体で企画された数々の体験プログラムを通して、地域と大学の交流促進を目的とした催し。今年は第10回のメモリアルイヤーを記念して、元プロ野球選手の内川聖一氏と元プロサッカー選手の鈴木隆行氏をゲストに招いたスポーツ教室も行われ、小学生以下の子を持つ親子を中心に330人を超える来場者でにぎわった。

地域住民と学生が健康意識や運動の大切さをともに学ぶ

「このキャンパスは普段から地域の方々に支えられて成り立っているので、こうしたイベントでそのつながりに感謝の思いを伝えたいと思い、今年は『LINK』という言葉をテーマにしました」と話してくれたのは、この日の企画・運営を担った学生団体ちーへるの長崎智彩さん(人間開発学部初等教育学科2年)だ。「つながり」を示すその言葉の中には、「10周年を迎えた地域交流スポーツフェスティバルを次の10年につなげる」という意味も含んでいると言う。

多くの来場者でにぎわった会場

周辺の小学校等に配ったチラシの効果もあり、開場時間の10時から大勢のにぎわいを見せた会場では、健康への意識や運動の大切さを楽しみながら学ぶ9つの企画を実施。50名以上の学生が地域の人を迎え、体育器具を用いたストラックアウトや「忍者道場」など幼児向けの遊び場だけでなく、スポーツ現場における応急処置のプチ講座や体力&ロコモ測定など、大人が学びを得られる企画も用意された。

お兄さんお姉さんに見守られながらストラックアウトにチャレンジ!

学生たちも使う本物の教材で応急処置を学ぶ。

また、今年は時節柄に合わせてハロウィンを意識した装飾が行われ、来場者の中にもお気に入りのキャラに扮した子どもたちの姿が。その他にもオリジナルスタンプのスタンプラリーなど、各所に学生たちの真心がこもった手作り感を感じることができた。

ボールを使った遊びで脳と体の連動を鍛える「ボールコーディネーション」。

館内各所に設けられた手作りスタンプを集めるスタンプラリー。

普段の学びを活かして学生たちが企画したユニークなコンテンツ

9つの企画のうち「食品サンプルを使った食事バランスチェック」は、内部にチップが埋め込まれた食品サンプルから一食あたりの栄養素が計測できる「食育SATシステム」という機器を用い、日常の食生活における栄養バランスの良し悪しが確認できるコーナーだ。

お盆に乗せた食事の栄養素を測ってくれる「食育SATシステム」。料理の組み合わせや重量を調整して栄養バランスを整える。

ここは、物は試しと普段の食事を思い出しながら下の献立で試してみると、コンピューターが計測した栄養バランスを確認した学生さんから「ビタミンCが不足しているのでフルーツを取り入れた方がいいのでは」というアドバイスが。

「ご飯(250g)」「豚汁」「ミックスフライ」「だし巻き卵」「ひじきの煮物」という献立。

なお、ゲーム感覚でバランスの良い献立を考えるのが楽しいこのコーナーなのだが、子どもにとってもうひとつ学びが得られるのは、取ってきた食品サンプルを元の場所に戻すタイミング。栄養バランスをチェックした後に、料理を「主食」「主菜」「副菜」とそれぞれの机に戻すうちに、献立をバランス良く整えることで栄養バランスも自ずと整う伝統的な日本式食生活の利点が自然と身に付くという。

一周のタイムを競った「ハロウィンの森」の障害物コース。

一方で、手作り感が最も光った「ハロウィンの森」は、頭と体をフルに動かす遊び場が集まったコーナーで、記憶力や動体視力を試される遊びに子どもたちの真剣な表情が見られた。

画像の中にあったものを答える記憶力テストも行われた「ハロウィンの森」。

親子一緒に健康状態を測定する体力&ロコモ測定のコーナー。

また、屋外の球技場で行われた野球&サッカー教室には、元プロ野球選手で地元の横浜ベイスターズでも活躍した内川聖一氏と、元サッカー日本代表でこちらも地元の横浜F・マリノスに所属した鈴木隆行氏がゲストとして登場。同大の準硬式野球部、蹴球部の現役部員とともに子どもたちとスポーツを楽しみ、日本最高峰を極めた元プロの視点からアドバイスを送った。

元日本代表・鈴木隆行氏の言葉に耳を傾ける“未来のJリーガー”たち。

健康やスポーツで、地域と大学がつながる意義とは?

初等教育学科、健康体育学科、子ども支援学科の3学科からなる同大の人間開発学部は、卒業生の約半数が教員として巣立つ教育系学部だ。「地域に育てられ、地域と共に育つ人材の育成」を教育理念に掲げ、そうした思想は周囲と大学とを隔てる門がなく、一方で学食にキッズスペースがあるなど、地域に開かれた本キャンパスの在り方からも伝わってくる。

この日は國學院大學のキャラクター「こくぴょん」も会場に!

そうした環境にあって同学部の渡辺啓太准教授は、「少子高齢化が進み、健康や運動に対する世間の意識が一層高まる中、地域の方たちと接点を持ち、実際に会話をして悩みなどに答える実践的な機会は、これから社会に出て教育に携わり、健康に不安を抱える人と向き合っていく学生たちにとって、机上の学習では得られないとても大きな経験になっています」と本イベントの開催意義を語る。

笑い、驚き、真剣な眼差し、学生たちの多彩な表情が各所で見られた。

併せて「最初の頃は教員が準備に関わる割合が大きかったのですが、複数の学年が一緒に関わり、先輩から後輩へつないできたことで、特に近年は学生の主体性が高まっているのを感じます」と10年の積み重ねに対する感慨も語った同氏。「『地域と大学の交流』と言葉にするのは簡単ですが、実践するのはなかなか難しい。その中でこのフェスティバルは地域の方たちに自由にキャンパスへ来ていただいて、学生との交流の形がしっかり作れていると思います」とも話し、「学生から毎年何かしら新しいチャレンジが出てくるので、次回もまた応援の立場でサポートしていきたいです」と来年以降の開催に意欲を見せた。

次の10年に歴史をつなぐ。

記念すべき10回目も盛況のうちに終えた地域交流スポーツフェスティバル。場内では、受付の学生、案内役の学生など各企画を担当する学生以外にも地域の人とつながろうという前向きな気持ちが感じられ、普段の学びを実践に生かす充実の表情を見ることができた。