風邪と熱中症は見ただけではわかりにくい
症状が安定していれば家族から離れて1日様子をみる
今年の夏は「猛暑」の予想です。例年よりも熱中症対策が必要と言われています。
「風邪と熱中症の区別は難しいと思います。どちらも頭痛や微熱が出ることもあります。熱中症の場合は身体を冷やして水分を補給。風邪が疑われる場合は、市販の風邪薬を飲んで半日から1日様子をみましょう。そのまま症状が落ち着いたら治るまで安静に過ごしてください。但し軽い発熱でも、コロナの疑いもあるかもしれないので、1日家族間の接触を減らして安静に過ごしてください。1日様子をみて悪化する場合などは、医療機関をすぐに受診してください。」と救急の最前線に日々立ち続ける新百合ヶ丘総合病院の伊藤敏孝センター長は語ります。
熱中症と風邪、間違いやすいのは頭痛・倦怠感・筋肉痛
「熱中症と風邪の共通した症状は以下の様に頭痛と倦怠感と筋肉痛です。暑い日に、頭痛やだるさを感じ風邪だと思っていたら、瞬く間に昏睡状態に陥り、救急搬送される患者さんも少なくありません。特に熱中症による救急搬送が増えるのが、梅雨明け前後の夏日です。軽い風邪だと思って、見過ごさず、熱中症も疑った方がいいでしょう。」と、伊藤先生(以下同)
「野外だけでなく、室内でも熱中症は起こります。水分補給などの予防をしていても、症状を感じたら注意してください」
熱中症は急激に悪化する可能性があり注意が必要
「熱中症かなと思ったら、屋外の場合は木陰などの日陰へ移動し、水分とミネラルの補給を行って体を休めてください。保冷剤などがあれば、体を冷やしましょう。室内では、水分、ミネラルの補給とともに、エアコンや扇風機等の出力をあげる、水を含めたタオルや保冷剤で首、脇の下、大腿のつけ根などを冷やしましょう」
上記で改善しない場合は、すみやかに医療機関へ。
「熱中症の初期症状は、めまい、立ちくらみ、生あくび、筋肉痛です。さらに倦怠感や頭痛もある場合は、周囲に助けを求めた方がいいでしょう。熱中症は急激に悪化することがあり、1人だけになるのは危険です。水も飲めないほどぐったりしていたり、昏睡状態であれば、周囲の人はすぐに救急車を呼んでください」と語っています。
上気道の症状がでたら風邪は早めに風邪薬でケア
「風邪は頭痛や倦怠感を感じても、急激に昏睡状態になるようなことはありません。風邪は常備薬を手元において、早めのケアを心がけてください」と伊藤先生は語っています。
「また最近解熱鎮痛剤が話題になっていますが、風邪薬には解熱成分が入っています。アセトアミノフェンは穏やかな効き目でお子様やお年寄りにも処方されます。微熱や悪寒があるときには上手に使って様子をみてください」と語っています。
風邪と熱中症。なかなか見分けがつきません。悪化しないか、1日様子をみて。
「風邪は熱中症のように急激な悪化はほとんどみられませんが、重症化のリスクはあります。特に子どもや高齢者など、免疫力が低下している世代は注意が必要です。風邪のほとんどはウイルス感染です。風邪のウイルスだけでなく、別の細菌に二次感染し、気管支炎や肺炎、脳症など合併症を起こし重症化することがあります。重症化する前に、早めに風邪の症状を緩和し体力を回復することが大切です。市販の風邪薬を飲んで様子をみて改善しない場合は、すぐに医療機関にご相談ください」
「今年はコロナ禍で、消防庁の救急隊員も、私たち医療関係者も混乱することが多々あります。ただし、症状が気になるときは、すぐに医療機関に相談してください」
新百合ヶ丘総合病院 救急センターとは
「脳血管障害、循環器系疾患などの重症者にも対応する救急初療室を4室完備しており、受け入れを行なっています。“救急センター”とは、病院にとっての“玄関”のような存在であり、“綺麗で明るい”玄関であれば入りやすく、また“入りやすい”玄関であれば、どんな方でも受診しやすいものとなると考えております。また当院は健康診断やドッグなど予防医学にも力を入れています。普段からの脳や心臓をはじめ全身をくまなくチェックをしておくことで、急な症状にも迅速に対応できます。ぜひ普段からのケアも含めて気軽に相談にいらしてください」と伊藤先生。