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油を摂って、お腹の脂を制す!? ロカボ提唱者が推奨する毎朝の「オイルファースト」新習慣とは

ゆるやかな糖質制限で知られる「ロカボ」提唱者にして糖質制限食の第一人者である山田悟先生(北里大学北里研究所病院院長補佐 糖尿病センター長)が、「食用油の新常識」と題して新習慣「オイルファースト」にまつわるマスコミ勉強会を開催しました。<油を摂って、お腹の脂を取ろう>という、一見すると水と油のようなテーマの栄養学最新事情です。

世の中では一般に、太らないため、そして生活習慣病を予防するため、とにかく油(=脂質)を目の敵にして、なるべく控えている人がいると思いますが、「油をしっかりと摂取すべきです」と山田先生は提唱します。

この山田先生が言う「オイルファースト」という概念は、べジファーストが一世を風靡した際に言われたように<油を食事の最初に摂りましょう>ということと、<油こそ一番安全>というダブルミーニングだそうです。

実は2008年頃には、糖質を控え、たんぱく質と油をっかり採ることがいいという考え方が出て来ていたそうですが、「わたしも油は控えるべき栄養素であると。油を食べたら太るかもしれないし動脈硬化になるかもしれない、高脂血症になるかもしれないと、ずっと思い込まされて来たんです」と山田先生。20世紀の栄養学としては、ごく普通の考え方だったのです。

そして「2020年の日本の食事基準では、べジファーストが提唱されていました」と山田先生。つい5年前までのことです。これは食事の最初に野菜を食べることで血糖値が上がりにくくなるという考え方であり、誰もが一度は健康法・ダイエット法としても耳にしたことがあるものでしょう。

しかし、朝、油を摂れば1日の代謝が上がることによりメリットの方が多いということが、次第に分かってくるように。山田先生は、「野菜だけで食事の血糖値が抑制できるかというと、そのデータはほとんどないんです」と意外な実情を説明。「実は研究グループの論文では、野菜の上にしっかりオリーブオイルがかけられていた。そこで『もしかしてオイルが!?』ということになってきた。オイルを食べることでさまざまなメリットがあることが、世界各国で確認済み、ということになってきたわけです」と山田先生。この勉強会では、さまざまな検証データが図解で示され、オイルファーストの実効性について説明されました。

つまり、「べジファーストという概念は、その論文の根っこを見てみると、オイルファーストそのものだったということなんです」と山田先生。「2025年版の厚生労働省『日本人の食事摂取基準』が去年出ましたが、べジファーストという言葉が消えています。ただ、研究論文が否定されたり、なくなったわけではなくて、<解釈>が違っていたんですね。多くの人がまだ、油を食べると高脂血症になるのではないか、血液中の脂が増えてしまうのではないかと思われているが、まったく逆なんです」。

「実は血液中の脂にはコレステロールと中性脂肪の二種類があり、その大半は肝臓が合成して血液に放出しているもの。このうち肝臓の中性脂肪の合成は、油を食べると収まります」と山田先生。つまり、油を摂取していれば、わざわざ肝臓が中性脂肪を作る必要がなくなるというわけです。

そして、「特に朝食が重要だ」と山田先生は言います。「オイル、たんぱく質の朝食をしっかり食べることで、午前中からエネルギー消費が上がり、一日の代謝も上がる。つまりやせやすくなるんです」。

なお、今回の勉強会では、実践しやすい方法として“朝オリーブ習慣”や “朝からあげ”など、これまでの朝ごはんの常識を覆す新たな食事を提案。ゲストとして登壇した有野いくさん(タレント、ベストカラアゲニスト)や、お笑い芸人おふろの井上ステーキさん、お笑い芸人おとうふの山中伸之さんも、目からウロコの栄養学に感心している様子でした。