マルチメディア対応AIプラットフォーム「BlendVision AiM(ブレンドビジョン・エイム)」を展開しているKKCompany Japanが、AIによる書き起こしや要約によって会議やイベントなどでのコミュニケーションを円滑にする新サービス「リアルタイムAIアシスト」を4月23日から提供開始。そのメディア向け説明会が、東京・渋谷の渋谷サクラステージ内にある同社で行われました。「話の要点だけを知りたい」「質問の返答に必要な資料が素早く欲しい」など、会議等の場で話す側にも聞く側にも起こるニーズに応えてくれる本サービス。当日はその実力が実技を交えて紹介されました。
「マルチメディア+AI活用」で企業の活動を支える
日本、台湾、マレーシアなどアジア太平洋圏に拠点を擁するグローバルテクノロジー企業・KKCompany Technologiesの日本法人である同社は、「マルチメディア+AI活用」によるサービスで、企業・教育機関・官公庁におけるコミュニケーションの活性化や業務効率化などをサポートしています。

この日は始めに同社のトニー・マツハシ代表が登壇し、同社ががサポートする3つの“smart”として「スマートミーティング」「スマートラーニング」「スマートメディア」をあげた上で、主軸サービスである「Blendvision AIM」をはじめとする同社のAI基盤を活用したプロダクト/ソリューション戦略を紹介。各サービスの活用事例なども紹介しながら「AIに対する知識が高くない方でもAIを使いこなせるような工夫が重要だと我々は考えています。まだAIに対して受動的な方も多い中で、我々の提供する目的特化型かつシンプルで使いやすいUIのサービスに触れていただき、AIに対する取り組みを後押しできれば」と語り、この日の本題である「リアルタイムAIアシスト」の紹介に繋げました。
会議内容を改善する新サービス「リアルタイムAIアシスト」
続いて、同社のProduct Sales部門でシニアアカウントエグゼクティブを務める田村健氏から、4月23日にサービス提供が開始された「リアルタイムAIアシスト」の機能が紹介されました。

最初に「会議のような場では、入れ替わり立ち替わりで話者が入れ替わることもありますが、聞き手と話し手とでは抱える課題が異なります」と述べた同氏は、続けて聞き手側に課題が出るケースとして「話が長く、冗長で何が言いたいかよく分からない」場合と「途中参加しにくい」という場合をあげ、同じく話し手側に課題が出るケースとしては「受けた質問の意図がよく分からない」という場合と「予想外の質問をされた時の対応に困る」場合を例にあげます。
そうした課題に対して、自動車メーカーのスバルと実証実験を経て開発された本サービスには、下記の6つの機能が搭載されていることが紹介されました。
①リアルタイム文字起こし・リアルタイム要約
発言をリアルタイムで文字起こし・さらに発言内容ごとに瞬時に要約。要約を見るだけで内容の振り返りやキャッチアップが可能に。
②要約に基づく関連資料の自動抽出・提案
関連資料を事前に読み込ませることで質問の意図を的確に把握し、回答に関連する資料をピンポイントに提示。読み込まれた資料はUI上にテキストで表示されるため、進行途中でもスムーズな形で情報が確認できる。予想外の質問や詳しい回答が必要な時も素早く、正確に回答が可能。
③リアルタイム翻訳
リアルタイム文字起こしと同じタイミングでAIが翻訳。発言、質問内容を正確に理解し、参加者全員がより正しく内容を理解することが可能。日本語、英語、中国語に対応し、今後さらなる多言語化を予定。
④話者分離・話者フィルタ
発言ごとに話者を把握し、誰が何を話しているか瞬時に判別可能。話者ごとにフィルタリングできるので、特定の話者の発言だけを把握可能。
⑤辞書機能
社内用語、業界用語や専門用語をあらかじめ辞書として登録することで、文字起こしや要約、翻訳精度を向上。
⑥議事録ダウンロード
会議・イベント終了後に文字起こし、要約、翻訳をCSV形式で出力。振り返り、議事録作成が可能。出力データを登録することで、次回以降の関連資料として再活用。
ひとつひとつはシンプルな機能ゆえ、何はともあれ実際の機能を見るのが一番早い……ということで会場では、当日ここまで語られた両氏のプレゼンなどをもとに、各機能の実力がまさにリアルタイムで披露されました。
誰もがAIの恩恵を感じることができる便利な機能
まずは「①リアルタイム文字起こし・リアルタイム要約」では、瞬時に文字起こしされた400字ほどの文章が即時に200字ほどに要約され、内容も起承転結が分かりやすく整頓された形に要約。さらに「②要約に基づく関連資料の自動抽出・提案」の機能で、要約後テキストの下には関連資料となるPDFの表示が。関連資料には話題との関連度を示す「95%」の数字も表示され、クリックすると必要と思われる情報がテキストで表示されました。

また「③リアルタイム翻訳」の機能では、説明の通り、文字起こしと同じスピードで英語の原文と日本語翻訳が表示され、そのタイムラグのなさを実感。
各機能の中でも個人的に非常に便利だと感じたのが次の「④話者分離・話者フィルタ」で、右上の話者リストの中から対象の人を選ぶと、その人物だけの要約だけが集約された形に。「⑤辞書機能」も翻訳精度の向上に実力を発揮していました。

「会議やイベントはもちろん、学生からのさまざまな質問に答えなければならない就職説明会、翻訳が必要な学会にも相性が良い機能で、コールセンター業務のようなお客様の要望に即時応えなければならない業種の方々にもお使いいただけるのではないかと考えています」とさまざまな業種への利用をプッシュした田村氏。誰もが分かりやすく活用できるサービスは、コミュニケーションの精度を高めるだけでなく、会議の迅速化や集中力の低下防止にも役立ちそうだと感じました。
「リアルタイムAIアシスト」の利用は、年間契約で月額15万円(税別)から。初期費用は無料となっています。AIの技術を活用して自社の会議のクオリティアップを試みてみては?