原材料高騰の波が押し寄せてきて、消費者生活に直結する食品分野で価格改定が相次いでいます。外食を控え、自炊にチャレンジする人も増えているようです。調味料を揃えたいけど、何を揃えたらよいかわからない、お金もそこまでかけたくない。そこで、料理酒やみりんなどの調味料を造り続けて122年という歴史をもつキング醸造株式会社の竹山慎一郎さんに、これだけ覚えれば料理上手になれるという極意を教えていただきました。
みりん・料理酒・しょうゆだけでOK。憧れの和食が作れる
「和食を作るのは憧れだけれど敷居が高いし、難しいのでは?と、自炊ビギナーさんは二の足を踏んでいませんか?実はある3つの調味料さえあれば、おいしくカンタンに作ることができるのです。たった3つの調味料でバリエショーンが広がりますので、ぜひ覚えておいてください」と竹山さん(以下同)。
その3つの調味料とは、「みりん・料理酒・しょうゆ」です。自炊ビギナーさんがいきなり、みりんや料理酒といわれてもどう使ったらわからない、と思うかもしれませんが、使い方さえマスターすれば、料理をカンタンにおいしくすることができます。
砂糖・塩不要。黄金比を覚えておけば、あとは焼くだけ・煮るだけ
日本で初めて料理酒を世に送り出したキング醸造は、3つの調味料の黄金比を知っています。黄金比さえ覚えておけば、つくる量が増えても調整ができるのでムダがありません。
「みりん・料理酒・しょうゆの3つを黄金比で混ぜ合わせ、あとは素材を焼くか煮るだけで、本格的な和食ができあがります。砂糖もお塩も必要ありません。調理によってはだし汁を使いますが、これはだしの素をお湯で溶くだけでOKです」
なぜ料理酒?みりん?その答えがわかると使いやすく
若年層は料理酒やみりんになじみが薄いかもしれませんが、これこそが料理をおいしくするポイントです。「和食はめんつゆが1本あればなんとかなる、と教えられたことがあるかもしれません。しかし、料理酒やみりんを使わないことが、そもそも料理がおいしくならない大きな原因なのです。料理酒は肉や魚の臭みを消し、うまみやコクをつけてくれます。また、素材をやわらかくする力もあります。みりんは甘みをつけて、てりやツヤをだし、煮崩れを防ぐので煮物にはかかせません」
料理酒は日本酒では代用できない。その理由は精米に
日本酒好きは、料理酒を使わずに日本酒で代用すればいいと考えることがあるかもしれません。しかし、料理酒にこだわることがちょっとした料理をおいしくするコツなのです。
「安い酒を使うと料理がおいしくなる、という言葉を聞いたことがありますか?日本酒には本醸造酒、吟醸酒、大吟醸酒等のランクがあり、それぞれお米をどれだけ磨いたかで決まります。お米を磨けば磨くほどほど雑味がなくなり、甘みが増してクリアな味わいになります。
お米の中心はデンプンが多く、周りにはタンパク質や脂質があります。料理をおいしくする成分は米の周りにあるので、料理にはお米を磨き過ぎない方が適しているのです。しかも、料理に高いお酒を使うより、料理酒の方が断然コスパがよくなります」
黄金比を使えば家庭の味がつくれる
この春、一人暮らしを始めた方は家庭料理が食べたくなる時期かもしれません。そんな時、黄金比を使えば家庭料理を再現することができ、少し寂しくなった気持ちをいやしてくれるかもしれません。「いつも親御さんが使っていたしょうゆや味噌があるはずです。黄金比のしょうゆを自分の家庭で使っていたしょうゆにすることで、なつかしい味にぐっと近づきます」