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がん患者のトータルアピアランスケアサロン『FOR AC(フォーエーシー)東京大学医学部附属病院店』がオープン

がん患者向けのQOL向上サービス開発を手掛ける株式会社ファーストクルーは、がん患者の外見を「医療」+「美容」=「美療」によるトータルアピアランスケアサロン『FOR AC(フォーエーシー)東京大学医学部附属病院店』を1月31日(水)にオープンします。これに先立ち、1月29日(月)に記者発表会及び内覧会が行われました。

株式会社ファーストクルー代表取締役社長 山本公生氏(左)、株式会社ファーストクルー代表取締役 彦田庸三氏(右)

アピアランスケアとは?

がんの治療では、吐き気や痛みなどの苦痛と共に、外見(アピアランス)の変化という大きな辛さを伴うことがあります。脱毛、皮膚の変色、爪の色や形の変化、手術痕などによる外見の変化によって、人と会うのが嫌になったり、半袖が着られない、旅行など好きだったことを諦めたりと今まで通りの生活が困難になる方が多くいます。そのようなストレスを抱える日常を、高品質な医療用ウィッグやカバーメイク等を通して解決することでQOL(生活の質)の向上を目指すのが『FOR AC』のアピアランスケア(外見ケア)です。

抗がん剤による変化

抗がん剤治療による変化には個人差がありますが、一般的に投与から1週間~4週間で脱毛が始まり、治療に伴う身体の変化から回復までの時間は約2年もかかると言われています。脱毛の形も全体的であったり少し残った状態であったり個人差があります。多くの人が抗がん剤治療の副作用として脱毛のイメージを持っていると思いますが、脱毛以外にも肌が黄ばむ、爪が黒ずみ波状になる、そして切除手術により体の一部を失うこともあります。
また『FOR AC』ではがん患者だけでなく脱毛症の患者も対応していますが、脱毛症の場合は抗がん剤治療による脱毛と違い、いつ治るか分からないことが挙げられます。

トータルアピアランスケアプロジェクト『FOR AC』を始動

『FOR AC』では医療と美容のプロフェッショナルが連携し、アピアランスケアを通して患者にとってストレスフリーな社会づくりを目指しています。医療現場と患者の声を真摯に聞き、研鑽を重ねた新商品の開発や美容技術を通した最先端のアピアランスケアを提供します。現在、抗がん剤治療や投薬などによる身体の変化と心への負担をアピアランスケアにより少しでも和らげストレスを軽減させることが治療にも繋がり、良い結果を生んでいくことが多くの学会でも発表されています。
『FOR AC』が提供するアピアランスケアを「医療」+「美容」=「美療」と定義し、この「美療」が受けられるサロンを、2023年8月に東京・千駄木に第1号店「FOR AC Fairydom」(フォーエーシー フェーリィドム)、広島県広島市に第2号店「FOR AC PROSOL」(フォーエーシー プロッソル)店をオープンし、今回、『FOR AC 東京大学医学部附属病院店』を3店舗目としてオープンします。さらに、北海道、熊本など、全国10都市に合計22店舗開業予定です。今回オープンする『FOR AC 東京大学医学部附属病院店』は、東大病院内のがん相談支援センターの真向かいに位置し、ワンストップでがん患者に向けてサービスを提供することが可能で、患者にとっての安心にも繋がると考えています。

記者発表会では、はじめに株式会社ファーストクルー代表取締役 彦田庸三氏が登壇しました。同社のアピアランスケアの取り組みは10年近く前から始まり、東大病院乳腺外科の分田貴子先生の研究室と3年に渡る共同研究を経て金沢に独立店舗を建設。以来、地域の大学と患者を受けながらアピアランスケアについて研鑽してきたそうです。病院内にアピアランスケアサロンができるのは日本で初めての試みとのこと。「東大病院店が全国のアピアランスケアサービスの研究開発の拠点となり、ここから日本中広くいらっしゃる患者さんのために、少しでもお手伝いできるような組織になればと祈念して頑張ってまいりたい」と挨拶しました。

続いて登壇した東京大学医学部附属病院 病院長 田中栄氏は「患者さんにとって“自分がどう見えているか”という“ボディイメージ”は非常に重要なことで、そこを高めていくことで病気と闘う、病気を治そうという気力も湧くということもある」と、アピアランスケアサロン開設の意義を述べました。また、「新たな試みなので、多くの方に知ってもらい、徐々に周知を図って世の中に認めてもらうことが大変大事。病院としても全面的にサポートして周知を図っていきたい。患者さんにとって大きな一歩になるように努めていきたいと思っている」と、アピアランスケアサロンが周知されることの重要性を強調しました。

ここで、株式会社ファーストクルー代表取締役社長 山本公生氏が登壇し、アピアランスケアの現状や重要性を説明しました。

アピアランスケアの認知度は低く、全国的にアピアランスケアを行うサロン、髪に悩む患者を受け入れるサロンがほとんどないというのが現状だといいます。2020年に石川県内の美容師100名に行ったアンケート調査によると、一度もがん患者への整髪に携わったことがない、との回答は55%でした。その理由は、化繊のウィッグはアイロンブローやカットの加工ができない、ウィッグに特化した技術講習も技術講師もいない、リピート性がなく採算が合わない、失敗時のリスクが高い点などが挙げられました。また、患者にとっても、どの美容室に行っていいのか分からない、専門的な知識や技術があるところに相談したくてもどこにあるのか分からないという声が多いといいます。そのような中で、『FOR AC』プロジェクトの取り組みとして以下の4点を掲げました。


・スタッフに向けた専門医師や現場の看護師からの講義によりがんや抗がん剤治療の知識を学ぶ場を設ける
・ウィッグに特化したカラーカットの技術や注意点の講習会を開いて専門的な技術者を育てる
・普段の外見に戻れるまでの期間を、最善のカウンセリングと美容技術でサポート
・各地域で患者が相談できる場所を増やしていくこと

『FOR AC』のアピアランスケアでは、患者の状況に合わせてウィッグやネイル、ファンデーション、専用の下着、エピテーゼなど各分野のプロがトータルでデザインし提案。約2年かかるともいわれる元の状態に戻るまで、さらに本当に社会復帰できるまでの相談できる人、相談場所としてサポートしていきます。

『FOR AC』の施術例

~抗がん剤治療後~

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『FOR AC』の施術後(フルウィッグ)

一般的な化繊のウィッグは手入れが簡単ですが加工はできず、独特の光沢感や違和感があります。一方、人毛100%のウィッグは美容師による手入れが必要となりますが、カットやカラー、パーマなど加工ができウィッグを装着しているという違和感がありません。『FOR AC』の医療用ウィッグは人毛100%を推奨しており、一人ひとりの悩みに合わせてウィッグをアレンジ。クオリティはできるだけ高く、それでいてしっかりと中間コストを省くことでリーズナブルな価格を実現しています。

~脱毛症の場合~

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『FOR AC』にてトップピース着用

また、人毛100%のウィッグならハイライトやインナーカラー、アイロンで巻くこともでき、今までと変わらないおしゃれを楽しむことができます。

山本氏は、「患者様の声として、病気にこれから立ち向かう勇気をもらえるって言っていただけることがこの仕事をしていて本当によかったと思うこと。これからもっともっと、美容業界に対してのアプローチをして、医療業界の連結を目指していく。これを1つの目的として、多くの患者さんたちを救えるような文化が当たり前に、スタンダードになるような世界を求めていこうと思っている。相談できる場所を増やし、専門知識を持った技術者を育成し、患者さんの退院するまで、そして退院後まで、トータルで長期間にわたるサポートをすることによって、ストレスフリーな社会作りに貢献できるよう頑張っていきます」と述べました。

『FOR AC(フォーエーシー)東京大学医学部附属病院店』の特徴

同店舗は東京大学医学部附属病院の入退棟B、1階の奥にあるがん相談支援センターの真向かいに開設。

がん相談支援センター

入り口には開発商品が展示された待合スペースがあり、プライベート空間を保てる個室を4部屋設けています。

2部屋は通常のヘアセットとシャンプーを備えた椅子のある部屋。その他の1室はセット用、もう1室はアイメイク、メイク、ネイルなど全てに対応できるようになっています。ウィッグやスタイリングだけでなく、メイクアップやネイルなど美容の各分野の専門家により、患者一人一人に寄り添った外見ケアを行います。同社の特徴としてメーカーではなく技術者が運営しているため、特定の商品を提供するのではなくその分野で一番いいものを、患者の状況、経済状況、年齢などに合わせて提案してくれるそうです。また、カウンセリングは無料とのこと。気軽に相談しやすい場所となっています。


『FOR AC 東京大学医学部附属病院店』
店名:『FOR AC 東京大学医学部附属病院店』
住所:東京都文京区本郷7-3-1
オープン日:2024年1月31日(水)
営業時間:9:00~18:00
定休日:土曜日午後、日・祝日
TEL :080-4581-8723
メニュー:医療用ウィッグケア/カット/カラー/パーマヘッドケアなど
販売商品:ウィッグ/ターバン/ファンデーション/化粧水/ネイルなど

アピアランスケアの認知度が低いこととして、健康な人にとってはがんと診断されて初めて、抗がん剤の副作用に悩み、そしてアピアランスケアを知る人が多いのかもしれません。または、充分にアピアランスケアについて知らず、外見の変化に一人で思い悩み、病気で身体が辛いだけでなく心まで辛くなってしまうこともあるかもしれません。このアピアランスケアサロンの展開により、相談できる場所がある、解決の糸口となるサロンがあるという認識が広がり、一人でも多くの方の病と闘う勇気に繋がればと思います。