全世界で1億4,200万人が学ぶ世界最大のオンライン学習プラットフォームの米Coursera, Inc.(以下コーセラ)が4,400の講座を日本語に翻訳し、より質の高い教育へのアクセスを向上させ、日本の学習者や教育機関の需要に応える新しい取り組みを発表しました。
2012年に2人のスタンフォードの教授(ダフニー・コラー氏と、アンドリュー・ウ氏)によってスタートしたコーセラ。コンピュータサイエンスの教授である2人が行っていたオンラインの講座では数十万人の学習者が受講していましたが、今では325以上の大学、業界のパートナーが7,000もの講座を製作し、それらは1億4,000万人以上の世界中の学習者に提供されています。そしてこれらは個人に対してだけでなく、企業や政府にも同様に提供され、大学や職業学校ではカリキュラムとして導入されており、現在は7,000以上の場所で活用されています。
国別に見るとアメリカ、インド、メキシコ、ブラジル、中国がトップ5で、アメリカは2,700万人、インドはヨーロッパ全土とほぼ同数の2,300万人がコーセラを使って学習しているそうです。それに対し、日本は約100万人ですが、今回の翻訳機能をきっかけに日本での学習者が増加することが期待されています。
<Courseraが日本で発表する新たな取り組みと機能>
●日本語翻訳
DeepLearning.AIとスタンフォード大学の「教師あり機械学習回帰と分類」、イェール大学の「金融市場」や「学習方法を学ぶ: 難しい科目を習得するのに役立つ強力なメンタルツール」などの日本で最も人気のあるコースを含む4,400以上の講座が日本語に対応。学習者はコースの参考文献、講義ビデオの字幕、小テスト、評価、相互評価の手順、ディスカッションの内容に、すべて現地の言語でアクセスすることが可能。東京大学の6つのコースは、フランス語、スペイン語、ドイツ語、タイ語を含む21言語に翻訳されている。
●生成AIアカデミーの開始
マイクロソフト、スタンフォード・オンライン、ヴァンダービルト大学、DeepLearning.AI、Google Cloud、AWSを含む、一流の大学や企業の基礎リテラシーとエグゼクティブ教育プログラムを提供するように設計された。
●Courseraコーチ(ベータ版)
Coursera Plus加入者、Coursera for Business、およびCoursera for Governmentの学習者向けの生成AIを搭載したバーチャル学習アシスタントで、パーソナライズされたフィードバックを提供し、質問に答え、ビデオ講義やリソースを要約。学習者の現地語での対話もサポート。
●Courseraコースビルダー
AIが支援する学習支援ツールで、企業、政府機関、大学であれば、誰でも簡単かつ迅速にカスタム講座を作成することができる。作成者は、Courseraに参加している世界トップクラスの企業や大学パートナーからのモジュールと、自分の組織の専門家からのコンテンツをシームレスに融合可能。コースビルダーは作成者からの指示に基づき、講座の構成、説明内容、課題、用語集などのコンテンツを自動生成する。
●利用しやすい学習体験を実現するプラットフォームの革新
日本の学習者の38%がモバイルデバイスを使ってCourseraにアクセスしており、このプラットフォームでは学習者は講座のダウンロード、進捗状況や小テストの確認、ハイライトを使ったメモの取り方、カレンダーの同期などを行うことができ、データ消費量が少なくなるように最適化されている。
「より高い教育を提供するという私たちの会社のミッションが、国連のSDGsの4番に入っていることを大変誇りに思っています。文化を超えて、時間を超えて、教育そしてアイデアを共有する、知識を共有する。これは人類をこれまで進歩させてきたその基礎となっているからです。私たちは新しい時代でオンライン教育というものを提供しており、それを平等に世界中で提供するというのが使命です。そして私たちは、このAIを使いながら教育をよりアクセスしやすい、そしてまた効果的で、より多くの人たちに提供するものにできるということをお話しすることを大変うれしく思っています」と語ったCoursera ジェフ・マッジョカルダ(Jeff Maggioncalda) CEO。
「世界的にデジタルトランスフォーメーションのスピードが増す中、日本もAIを取り入れ、製造業とハードウェアの優秀性をさらに高めるために大胆なステップを踏んでいます。 オンライン学習というのもは、このスキルギャップを解消し、 そしてAIの時代に日本がリーダーシップを発揮できる人材を記載する上で重要な役割を果たすことになっていくでしょう」と語ったCoursera グローバルコミュニケーション担当 アルナブ・シンハ(Arunav Sinha)バイスプレジデント。
「2013年に2講座をコーセラに提供したのを皮切りに今年5月には11コースを提供する東京大学は、日本で唯一の提供大学で、190カ国で視聴されています。その94%は国外からの学習者で、グローバルに学習されている状況です。今回、AIが非常にうまくコンテンツに入っていくような形を見せてもらい、開発側としてはそうしたものをより活用した講座開発をしたいと思います。そして、やはり大学ならではの講座というものを社会貢献の一環として提供していきたく、そういった形で連携を進めたいです」と語った東京大学 大学総合教育研究センター副センター長 兼 高等教育推進部 栗田佳代子 部門長。
世界的に見ると、どうしても語学力が劣る日本人にとって、今回の日本語対応化はまさに朗報と言えるのではないでしょうか。これをきっかけに、世界中の一流大学の講義をまずは日本語で触れ、自身の知識の幅を広げていくことができれば素敵なことです。コーセラでは今回、一番人気がある6つのコースを日本語に翻訳し、100日間無料で提供しているそうなので、ぜひアクセスして体験してみてはいかがでしょう!