忘年会にクリスマス、そしてお正月。年末年始は、おいしいものを食べたり飲んだりする機会が増える季節です。イベントも多く楽しい反面、“胃”にとっては試練の季節。実際、年末年始は胃の不調を感じやすいという調査結果もあり、「なんとなく胃が重い」「食欲が出ない」といった“胃疲れ”の声がぐっと増える時期です。

さらに調査では、約10人に1人が慢性的な胃の不調を抱えており、仕事を休まざるを得ないほど深刻なケースもあることが明らかに。胃の不調は「そのうち治る」で済ませず、早めのケアが大切です。

※2025年7月「胃の不調実態調査」(ヒューマンデータラボラトリ)
https://www.humandatalab.com/archives/4052
ここからは、“胃疲れ”の原因、そして今日からできる“胃活”のポイントや、胃にやさしいヨーグルトレシピを紹介していきます。
そもそも“胃疲れ”ってどんな状態?
“胃疲れ”とは、胃の働きが一時的に低下し、食べ物をうまく消化できなくなった状態のこと。主な症状は胃もたれ、膨満感、食欲不振、吐き気です。年末年始に増える暴飲暴食、不規則な生活、ストレスや冷えが自律神経を乱し、胃酸の分泌や胃の動きが不安定になるのが大きな原因です。放置すると慢性化し、気力の低下や不安感や抑鬱気分、集中力不足につながることもあります。
あなたの胃は大丈夫?『胃疲れチェック』
□朝から胃が重く、空腹にならない
□胸やけ、げっぷがよくでる
□食後にお腹のはりがある(膨満感)
□すぐにお腹がいっぱいになる(満腹感)
□胃がキリキリと痛む
□吐き気がする
1つ以上チェックがついたら、「胃疲れ」のリスクが高いと考えられます。症状が続く場合は、重篤な病気が潜んでいる可能性もあるため、自己判断せず医療機関を受診しましょう。
今日からできる!胃を整える“胃活”プログラム
胃の不調の原因となる自律神経の乱れは、残念ながら薬などではコントロールできません。十分な睡眠時間を取り、運動をして、食事に気を配ることが必要です。中でも胃の不調を感じる方におすすめの「胃活プログラム」をご紹介します。
バナナやヨーグルトでOK!朝食で胃をやさしく起こす習慣を
ある研究では、朝食を食べるグループと食べないグループで胃の調子を調べたところ、朝食を食べないグループのほうに胃の調子が悪い人が圧倒的に多かったという報告も。朝食を食べると、胃が目覚め「生活のリズム」のスイッチが入ります。起きて2時間以内、できれば毎日同じ時間に朝食をとると自律神経のリズムが整います。栄養バランスの整った食事を毎朝モリモリ食べられなくても、バナナやヨーグルトといった簡単に食べられるもので充分。栄養価が高く胃にやさしいのでおすすめです。食欲がない場合は一口食べるところからチャレンジしてみよう。
ヨーグルトで“菌活”して胃をサポート
乳酸菌や、こうじ菌、酵母菌、納豆菌など体によい菌をとる「菌活」。実は乳酸菌や発酵食品は腸だけでなく胃の働きもサポートしてくれます。多くの乳酸菌は胃酸により死滅してしまいますが、中には胃酸に負けずに働く乳酸菌もあります。ピロリ菌の活性を抑えたり、胃痛や胃もたれなどを和らげたりする作用をもったLG21乳酸菌入りヨーグルトなどを利用するのがおすすめ。
“温活”で胃を冷えから守る
お腹が冷えると胃の動きも鈍りがち。腹巻や温かい汁物、ホットドリンクで内側から温めると胃がよく働いて調子がよくなります。
姿勢改善で胃の圧迫を減らす
デスクワークや長距離運転など、ずっと座っていることの多い人や、農作業などで前かがみの姿勢になることの多い人、猫背の人は要注意。それらの姿勢はおなかを圧迫して胃の内圧が高まるため、胃酸が逆流しやすくなります。デスクワーク中やスマホ時間は意識的に背筋を伸ばしましょう。

監修:三輪洋人氏
消化器内科医、川西市立総合医療センター総長。日本消化器病学会前理事・財団評議員・専門医・指導医、日本内科学会前理事・評議員・指導医・認定内科医、日本内視鏡学会社団評議員・指導医・専門医、日本消化管学会功労会員・代議員・専門医・指導医・胃腸科認定医、日本神経消化器病学会前理事長、Asian Neurogastroenterology & Motility Association ANMA前理事長。1982年鹿児島大学医学部卒業。順天堂大学、米国ミシガン大学を経て、2004年兵庫医科大学 消化器内科主任教授に就任。その後、同大副学長、理事なども歴任し、2022年より現職。著書やメディア出演も多く、2022年9月からはYouTube「Dr.三輪洋人の健康チャンネル」を開設。幅広い世代に健康情報を発信している。2025年7月14日に「胃の不調の原因と対策 胃活の教科書」(毎日新聞出版)を出版。
“胃活”にぴったり!ヨーグルトを使った“胃にやさしい”レシピ3選
① あったか湯豆腐のヨーグルトみそだれ

~胃に優しいポイント~
胃に負担が少なく良質な植物性のたんぱく質がとれる豆腐。胃腸の動きを活発にしてくれる働きがあるヨーグルトと発酵食品である味噌を組み合わせて胃に負担が少なく体の回復を助ける1品に。
【材料名/2名分】
木綿豆腐 1/2丁
春菊 1/2袋
しめじ 1/2パック
A水 500ml
A昆布 10cm
Bプレーンヨーグルト 100g
B味噌 大さじ2
B白すりごま 大さじ1
B砂糖 小さじ1
Bしょうゆ 小さじ1/2
【作り方】
・豆腐は食べやすい大きさに切る。春菊は固い部分を切り落とし、4cm幅のざく切りにす
る。しめじは軸を切り落とし、ほぐす。
・鍋にAと水を入れて熱し、豆腐を加える。煮立ったら春菊としめじを加え、具材に火を
通す。Bは混ぜ合わせる。
・器に2を盛り、Bをかける。
② とん平焼きのヨーグルトソース

~胃に優しいポイント~
胃への負担が少なく、栄養価の高い卵と胃腸の回復を助けるキャベツを活用。胃の負担を大きくする脂であるマヨネーズは、ヘルシーで胃腸の動きを活発にしてくれる働きがあるヨーグルトに変えることで、胃腸の回復の助けとなる1品に。
【材料名/2名分】
豚こま切れ肉 120g
千切りキャベツ 50g
もやし 50g
卵 2個
サラダ油 大さじ1
塩・こしょう 各少々
プレーンヨーグルト 大さじ3
お好み焼きソース 適量
削り節 適量
小ねぎ 小さじ2
【作り方】
・フライパンに油を熱し、豚肉を炒める。肉に火が通ったらキャベツ、もやし、塩、こしょうを加えてさっと炒め、取り出す。
・卵を割りほぐす。1のフライパンを再び熱し、溶き卵を流し入れ、全体に広げる。火が通ったら1を片側にのせる。反対側の卵をかぶせるように半分に折りたたむ。
・器に2を盛り、ヨーグルトを表面全体に塗り、ソースをかけて削り節、小ねぎをのせる。
③ ホットバナナヨーグルトドリンク(シナモン風味)

~胃に優しいポイント~
消化が良く腸内環境を整えてくれるオリゴ糖を含むバナナとはちみつを胃腸の動きを活発にしてくれる働きがある乳酸菌を含むヨーグルトと合わせて、胃腸に優しくホットでいただけるドリンクに。血流促進の助けと香りづけのためのシナモンもポイント。
【材料名/2名分】
バナナ 1本
プレーンヨーグルト 200g
はちみつ 大さじ1
シナモンパウダー 少々
【作り方】
・バナナは皮をむき、ミキサーにシナモンパウダー以外の材料と入れて滑らかになるまで撹拌する。
・耐熱カップに1を注ぎ、1つずつ電子レンジ600wで1分30秒加熱する。お好みでシナモンパウダーをふる。
レシピ監修:渥美 まゆ美氏
株式会社Smile meal 代表取締役。管理栄養士、フードコーディネーター、料理研究家、健康運動指導士。現在は出版、メディア出演、レシピ開発など体にプラスな料理の提案をすると共に、企業向け健康セミナーの講師も担当。健康寿命を伸ばすために必要な栄養の知識と調理力、食事選択力の普及を目指して幅広い分野で食と健康に関わる活動をしている。
年末年始は“胃活”で快適に
年末年始は多くの人が胃の不調を感じやすい時期。胃をいたわる習慣を少し取り入れるだけで、体調がぐっと変わります。ヨーグルトを上手に活用しながら、無理なく“胃活”を続けてみてくださいね。