ビジネス

HiPro事業方針説明会、「B.革新」の始動迫るBリーグで副業人材が活躍できる可能性は?

副業・フリーランスのプロフェッショナル人材総合活用支援サービス「HiPro」が、5月28日に東京都内で事業方針説明会を行った。同サービスが行うプロジェクト「スキルリターン with SPORTS」の本格始動が主なトピックとなった本説明会では、今年から連携関係を結ぶBリーグ・ベルテックス静岡や同リーグの関係者をゲストに招き、スポーツ界での副業人材活用の可能性などについて意見が交わされた。

「スキルリターン with SPORTS」の取り組みを本格化

導入社数1.8万社、登録者数12.5万人を超える「HiPro(ハイプロ)」が2023年より展開する「スキルリターン」は、地域に特別な想いを持つ人材のスキルを地域に還元し、プロ人材活用の浸透を目指すプロジェクトだ。今回の説明会で本格始動が発表された「スキルリターン with SPORTS」では、「県外からの人材募集」と「クラブと地域企業の人材シェアリング」を軸に、プロスポーツに携わりたい個人と人材を獲得したいクラブを繋ぐ取り組みを展開。2026年度は60件のマッチング達成を目指している。

山田遼平氏

事業方針発表、事例発表、トークセッションの三部構成で行われた本説明会。同サービスを運営するパーソルキャリア株式会社・HiPro事業部長、山田遼平氏による事業方針発表に続く事例発表では、今年1月から「スキルリターン静岡」として連携を進めるBリーグ・ベルテックス静岡の運営会社、株式会社VELTEXスポーツエンタープライズから松永康太社長と同社に副業人材で参画予定の長尾龍之介さんを招き、連携の背景や具体的な活動内容が語られた。

静岡県静岡市を本拠地とし、B2(Bリーグ2部)に所属するベルテックス静岡は現在、2030年の新アリーナ竣工および国内トップリーグとなるBプレミア参入を目指して活動している。

そうした高い目標を掲げる中、「ここから(2030年まで)4年のステップアップでどれだけコンテンツ力を高められるかが非常に重要」と課題を述べた松永氏は、チーム運営に加え、スポーツアカデミー運営、商品企画開発、飲食事業、自治体連携のPR事業、コミュニティ運営など、多岐に渡る同社の事業を紹介。まだ成長過程の組織ゆえ、30名ほどの少数精鋭で組織を回している現状において副業人材の活用に目を付け、「優秀な方が静岡に来て活躍する場を作りたいと考えました」と今回の連携に至った背景を説明した。

松永康太氏

「スキルリターン静岡」初の取り組みとして紹介されたのは、3月14日・15日の2日間に行われた課題解決型ワークステイだ。この取り組みでは副業に興味を持つ参加者が静岡に滞在し、ホームタウンやチームを視察。その魅力を体感した上で地域と組織の活性化に繋がる事業提案を募った。参加には想定を超える80名以上の応募があったそうで、大手通信会社でグローバル戦略、M&Aの検討などを担当する長尾さんとの関係もここから生まれた。

「いろんな方にインタビューをさせていただく機会があり、ファンの方々の熱い思いを身近に感じられたことがすごく良かったです」と長尾さん。一方で、松永氏は「現状では緊急ではないけれど重要なことがおざなりになってしまっている部分があります。強い組織を作っていくにはその穴を埋めなければならないので、そうした部分に副業人材の可能性を感じています」と期待を寄せた。

その上で「パートナー企業も増える中、これからは今まで許されていたことが許されない時が来ます。経営基盤の強化は早急にやらなければならない課題なので、長尾さんには得意分野を活かして経営戦略のサポートを依頼したいと考えています」と語った松永氏。これに対し、司会者からは「経営戦略という企業の軸に副業人材が関わることに不安はないか?」という質問が飛んだが、同氏は「自分たちだけでやっているとスタンダードが凝り固まってしまう面もあります。異業種からの意見はウェルカムですし、今まで経験された知見をどんどん注入していただきたいと思っています」と答えた。

経営、社会性も昇降格の指標になる画期的なリーグ改革「B.革新」

後半のトークセッションでは、4月からパーソルキャリアとの連携をスタートしたBリーグの運営会社、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグから事業企画グループ・SR推進グループの菅原瑠美ゼネラルマネージャーを招き、両者が目指す地域活性化についてトークを展開。

Bリーグでは9月開幕の新シーズンから「B.革新」と名付けた大規模な構造変更を実施。競技成績に基づくカテゴリーの昇降格を廃止し、財務健全性や経営基盤の安定性、運営指針の達成度などを昇降格の審査基準に加える改革の最中にあり、菅原氏は「事業規模拡大の成果が選手だけでなく、アリーナ運営やファンサービス、人材の投資に繋がる循環を作っていきたい」と、その考えを語る。

菅原瑠美氏

また、全国でアリーナ建設の動きが活発化する中、「アリーナ建設はゴールではなくスタート。アリーナを中心とした地域のコミュニティ作りが最も重要だと我々は考えています」と言い、「そこには働く人、ビジネス人材も含まれており、クラブの経営が多角化する中、人材強化の面でパーソルさんと連携させていただきたいと思いました」と連携の経緯を説明。大規模改革によって今後さらに多様な人材ニーズが予想されるBリーグと、人材ソリューションで強みを持つパーソルキャリアの“なるべくしてなった連携”の背景が伺えた。

両社は今後、人材課題の解決やスポーツビジネス参画機会の拡大などで協力。また、「スキルリターン with SPORTS」含む取り組みを全国のクラブに拡大していく予定だという。

全体が大きく生まれ変わる中で、HiPro連携のもと副業人材の活用を進めるBリーグ。その取り組みはリーグやクラブの環境に変化を与えるだけでなく、自分の経験を活かしてプロスポーツに関わりたいと考える副業希望者にも大きなチャンスを生むかもしれない。