「PARMIGIANO REGGIANO DAY TOKYO 2026」開催レポート! 4人の女性シェフが引き出す、パルミジャーノ・レッジャーノの魅力
1000年の歴史を誇り、イタリアチーズの王様とも言われる「パルミジャーノ・レッジャーノ」。長い歴史のなかで受け継がれてきたチーズづくりの伝統と、その魅力を広く伝えるため、パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会は世界各地で「PARMIGIANO REGGIANO DAY」を毎年開催しています。
その一環として、去る2026年10月26日には東京・銀座の「L’atelier de oto」(GINZA SIX 6階)にて、「PARMIGIANO REGGIANO DAY TOKYO 2026 ~CLUB REDの女性シェフたちが拓く、新しい道~」が開催されました。
当日は、日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35(RYORININ’s EMERGING DREAM U-35)」への出場経験を持ち、「CLUB RED」のメンバーとしても活躍する4人の女性料理人が集結。パルミジャーノ・レッジャーノを使った創作料理が披露されたほか、女性料理人をテーマにしたトークセッションも行われました。
伝統のチーズと日本の精神が共鳴する「パルミジャーノ・レッジャーノ道」

まず、チーズプロフェッショナルの星野真人さんによる「チーズカットパフォーマンス」で、イベントの幕が開けました。パルミジャーノ・レッジャーノの大きなホイールを専用ナイフでカットする、迫力あるパフォーマンスが披露され、会場の参加者はその様子に目を奪われていました。
大きなホイールの重さは約40kgと、小柄な女性の体重に匹敵するほど。パルミジャーノ・レッジャーノは、「切る」という概念ではなく、専用のナイフを使って「割る」ように分けていくのが特徴だそうです。

「パルミジャーノ・レッジャーノは、北イタリアのエミリア・ロマーニャ州を中心とした、限られた地域でのみ生産されるチーズです。伝統的な製法で作られ、最低12ヶ月の熟成を経て、パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会による厳格な品質検査を受けます。
その検査に合格したチーズにだけ押されるのが、こちらの認定マークです。また、チーズの表面には、生産者を識別する番号や製造年月、トレーサビリティを確認するための刻印などが施されています」
続いて、乾杯の発声を小山薫堂さんが務めました。

今回、パルミジャーノ・レッジャーノを主役にして調理するのが、過去にRED U-35で入賞した4名の女性シェフです。RED U-35は、2013年にぐるなびの創業者である滝久雄さんの発案で始まった日本最大級の料理人コンペティション。これまで12回開催しており、毎回約500名の若手料理人が挑戦してきました。
コンペで上位50位に入った料理人が招待される「CLUB RED」は、約10%が女性シェフで構成されています。今回はその中からトップ4のシェフが調理を担当する運びとなり、「若い才能がイタリアの食文化をどう料理するのか、本当に楽しみです」と小山さんは期待を寄せていました。

その後、主催者を代表し、パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会のジャパンPRコンサルタントであるティツィアーナ・アランプレーゼさんが登壇しました。
パルミジャーノ・レッジャーノの生産プロセスは、日本の「道」の精神や伝統文化と深く通じるものがあります。こうした共通する価値観に着目し、「パルミジャーノ・レッジャーノ道」というコンセプトを確立しました。
「パルミジャーノ・レッジャーノ道」における5つのキーワードは伝統、本物、自然、美味しい、楽しいというもの。そこに新たに「気」「時」「良質」「響」「調和」という5つのキーワードを加えることで、パルミジャーノ・レッジャーノに息づくクラフトマンシップを受け継いでいきたいとティツィアーナさんは語りました。
次いで、今回の女性料理人が手がける料理を監修した食プロデューサー・コンサルタントの狐野扶実子さんが登壇しました。

狐野さんは、今回あらためてパルミジャーノ・レッジャーノと向き合う中で、「さまざまなジャンルの料理人による自由な発想を、しっかりと受け止めてくれる。その“懐の深さ”を実感しました」と語りました。
今回のプロジェクトでは、4人の女性料理人がそれぞれ異なる場所を拠点に活動していることから、離れた場所にいながら、どのようにアイデアを共有し、一つの料理を創り上げていくかが大きなポイントとなりました。
そこで、オンラインミーティングを重ねるとともに、グループLINEを活用し、メニューの構想やレシピの検討を進めていったそうです。さらに、AIを使って料理のイメージ画像を作成・共有し、それを具体的な意思決定につなげるという新しい試みも行われました。
こうした経験を振り返り、狐野さんは「これからのシェフたちの共創は、時間や場所の制約を超えて、さらに面白い可能性が広がっていくのだと実感しました」と、新たな発見と手応えを語りました。
4人の女性料理人によるパルミジャーノ・レッジャーノの創作料理
ここから4名の女性料理人による、それぞれ趣向を凝らしたパルミジャーノ・レッジャーノの料理がサーブされました。

誘い|北寄貝、バターナッツ、鬼灯

「北寄貝の旨味、ほおずきの酸味、バターナッツの甘味という異なる個性をひとつにつなぎ、包み込むのがパルミジャーノ・レッジャーノです。季節の移ろいに心を寄せ、その一瞬の豊かさを一皿に託しました」

三和|車海老、水晶文旦、牡蠣魚醤、ベトナムスパイスのデュカ、ミント

「ベトナムの柑橘『ザボン』のサラダ(ゴイ・ブオイ)から着想を得た料理です。日本で最も早く出回る高知の水晶文旦と広島の車海老を合わせています。 パルミジャーノ・レッジャーノをあえて異なる粗さで削り出すことで、芳醇な熟成香と結晶化したアミノ酸の心地よい食感をワインとともに楽しんでいただけます」

郷愁|もち米、さめのたれ、フカヒレ、ラビオリ

「パルミジャーノを無駄にしないことから生まれたリゾット・カチョエペペと、出身地である三重県・伊勢志摩の郷土食『さめのたれ』(さめの身を干物にしたもの)を取り入れたラビオリです。 軽い仕立てながらも、36ヶ月パルミジャーノの濃厚な味わいと共に、ふるさとの味と受け継がれてきた文化への思いを自身のルーツと重ね合わせた一皿です」

12ヶ月・36ヶ月の余韻

「テーマは『12ヶ月と36ヶ月の余韻と出汁』とし、熟成年数の異なる2種類のチーズを使用しています。 普段は捨てられてしまうことの多い36ヶ月熟成チーズの外皮から出汁を取り、ソースに仕立てて経産牛と合わせています。 皿の中には12ヶ月の熟成チーズをニョッキとソースに合わせ、秋野菜やキノコを添えています」

道 ―共創―
パルミジャーノ・レッジャーノ道をテーマに、4人の表現が響き合うデザート
次世代を担う4人のシェフが見据える「料理人の未来」
後半には、女性料理人4名と狐野さんによるトークセッションが行われました。

女性チームで仕事をするという機会について、チランさんは「色んな意見が出て、意見自体が対立することもあったが、すごく貴重な経験と機会をいただいた」と振り返りました。

山本さんは、「皆さんの仕事ぶりを拝見していても、そこに“性別”というものは関係なくて、プロフェッショナルな仕事の姿に触れることができて、私自身すごく学びになった」と語りました。

パルミジャーノ・レッジャーノとあらためて向き合う中で感じた魅力について、村田さんは「他のチーズとは異なり、さまざまな料理に自然と寄り添ってくれるチーズだと感じた」と語りました。
一方、山本さんは「パルミジャーノ・レッジャーノは、まさに“百面相”を持つチーズ。切り方や加熱の有無、熟成期間によっても味わいや表情が大きく変わり、実に多彩な表現ができるところが魅力です」と、その奥深さを表現しました。

また、山田さんは「パルミジャーノ・レッジャーノがどのように生まれ、どのような人々が、どれほどの情熱と時間を注いで作り上げているのか。その背景にある物語を深く知ることができました」と振り返り、生産者たちのものづくりへの思いにも触れました。
「料理を作ることができる喜び、そして、その料理を通じてお客様に喜んでいただける幸せは、何ものにも代えがたいものです。その思いを大切にしながら、自分自身の感性や表現をさらに磨き続けていきたいと思っています。
また、女性ならではの視点も大切にしつつ、性別にとらわれることなく、一人の料理人として、料理の楽しさや魅力を一人でも多くの方に届けられるよう、これからも精進していきたいです」(山田さん)
「『食文化』という言葉があるように、食は文化そのもの。食に携わる以上、料理人も文化を創り出す存在であるべきだという、尊敬する志摩観光ホテルの樋口シェフのこの言葉が強く心に残っています。私自身も、まずは料理を楽しむ気持ちを大切にしながら、そうした意識を持って料理と向き合っていきたいと思っています」(チランさん)
「私は料理人という職人の道を歩んでいますが、自分自身の成長だけでなく、今一緒に働いているスタッフの将来も大切に考えていきたいと思っています。そして、近い将来には独立して自分のお店を持ち、料理人として新たな一歩を踏み出したいですね」(山本さん)
「料理人という仕事は、多くの人にとって憧れの職業であってほしいと、日頃から強く願っています。そのためにも、こうした場で自分の思いや経験を発信することを通じて、料理人という職業の魅力や素晴らしさを伝えていきたい。私自身の活動が料理人を目指す人を増やし、より多くの人に憧れられる職業となるための一助になれれば嬉しく思います」(村田さん)
最後に、今後の展望について4名がそれぞれ語り、イベントを締めくくりました。