現代の名工・黄綬褒章受章の百谷料理長の手がける特別会席「家康御膳」

NHK大河ドラマ「どうする家康」の放送で盛り上がりを見せる静岡県浜松市。思考を凝らしたさまざまな家康グルメが登場しています。その中でも、筆者のおすすめなのが今回紹介する、百谷正喜氏が監修する特別な会席料理。京都にて修行を始め、関西の名だたる名店経て現在は静岡県を代表するホテル、呉竹荘の八葉亭の料理長として多くのファンを抱えています。「鰹節・昆布」で取る出汁を巧みに操り仕上げる料理の数々は浜松の和食シーンを牽引。そんな百谷料理長の特別会席「家康御膳」はいかに！？

家康が愛した豊かな浜松の恵を堪能

酒肴
〜東海道の地産〜
桜海老佃煮、エシャロット金山寺味噌掛け、浅蜊生海苔和え、煎茶胡麻豆腐、南京カステラ

家康が浜松で過ごした17年間は、敗走伝説が多く言い伝えられ、質素倹約だったとされています。力を蓄える時代におそらく家康も口にしたであろう、浜松の恵を百谷料理長アレンジで。桜海老と言えば、生もしくは、かき揚げが一般的ですが何と!佃煮で提供されました！そして、特産のエシャロット、浅蜊、生海苔、胡麻豆腐は煎茶フレーバー。酒肴は浜松素材が躍ります。

造里
生しらす、鯛松皮、鮪、添物一式

花の町「浜松」らしくエディブルフラワーが飾られた造里。こちらは家康の大好物、鯛に注目。鯛を食べ過ぎて死んだ！なんて言われもあるそうですよ。

吸物
全粒粉うどん、絞り生姜、三つ葉

百谷料理長の変化球で吸物にうどんが登場！全粒粉のうどんを好んで食べた家康。生姜も麺に練りこんでいたようですが、出汁がスペシャリテである百谷料理長は出汁に生姜をin。これから気温が上がって来るので夏バテ防止にピッタリと思ったら、家康は夏バテ防止に食べていたそうですよ。

温物
鰻茶蕎麦巻き、山椒餡掛、芽葱

浜松と言えば鰻！茶蕎麦に巻かれたおすしのような美しいビジュアルにうっとり。餡に忍ばされた山椒の刺激が食欲を擽ります。

合肴
茄子田楽(米茄子)、薑、山牛蒡

家康が晩年を過ごした駿府城で好んで食べていた折戸なす。「一富士、二鷹、三茄子」のなすは折戸なすではないか？と言われています。明治期に栽培が途絶えたが、近年復活したそう。旬は6月〜9月とのこと。旬前なこともあり、こちらは米茄子ですがぜひ折戸なすも食べてみたいものです。

進肴
近江牛鋤焼き、特製割りした、巻き白菜、白葱、占地、水菜、豆腐、玉子

メインが近江牛？？？京から見て近い近江(琵琶湖)、遠い遠江(浜名湖)と名が付けられたこと、さらには江戸城に近江牛が上納されていた歴史を紐解いてメニューにin。日本三大和牛できめ細かい肉質、全体に美しいサシがあり、口の中でとろける上質な脂に家康も舌鼓をしたことでしょう。

追肴
長芋大葉鯛巻き、季節野菜、天出汁

またまた登場の家康が大好きな鯛。百谷料理長の技がさく裂する「長芋大葉鯛巻き」は、長芋を芯にして鯛で巻き、薄衣で揚げています。ふわふわで上品！天出汁と、抹茶塩でいただきます。季節野菜は、たらの芽、舞茸、かぼちゃ。

食事
釡炊き麦飯、豆味噌、奈良漬、安芸柴漬

ごはんは家康が大好きな麦飯。白米文化が都市部から広がり脚気(江戸わずらい)が流行。ビタミンB1の欠乏によって末梢神経障害と心不全をきたす疾患です。家康は長生きするために食に気を付けていたと言われていますが、麦飯を好んだことからもうかがえますね。

水菓子
家康嘉祥菓子

デザートは、呉竹荘の洋菓子部門を支える藤田シェフが監修。芋まんじゅう(鬼まんじゅう)、草餅、味噌団子浜納豆。注目は、味噌団子浜納豆。藤田シェフのオリジナルスイーツで、五平餅のお団子仕立て。浜納豆は糸をひく納豆ではなく味噌のような味わいの発酵食品。浜松っ子であれば知っている地元の味が、会席料理のラストを飾ります。