皮膚疾患「乾癬(かんせん)」の患者さんは、世界中に多く存在し、日本にも40~50万人以上いると推計されています。皮膚疾患の中でも乾癬は治りにくい慢性の皮膚疾患であり、がんや高血圧よりQOLが低いといわれます、一生付き合っていかなければならないことも多いことから、近年、QOL向上のための取り組みや啓蒙活動が進められています。
そこで今回は、最新の乾癬のQOL向上のための国内における取り組みをご紹介します。
製薬会社のアムジェンが「世界乾癬デー」に疾患啓発動画を公開
乾癬とは、免疫反応の異常により発症するといわれる全身性の慢性炎症で、主に5つの病型に分かれるうち、尋常性乾癬が最も多くみられるといわれています。銀白色の鱗屑に覆われた境界鮮明な紅班があらわれるほか、かゆみを伴うことから、QOLに悪影響が及んでいるといわれています。
2024年10月29日の「世界乾癬デー」周辺には、多くの活動が行われましたが、中でも製薬会社のアムジェン株式会社は、疾患啓発動画を公開し、啓蒙活動を開始しました。
乾癬は完治が難しく、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すことから、途中で治療を断念してしまう人もいるといいます。
そこで動画ではアンバサダーに就任したフリーアナウンサーの高島彩さんが出演しており、20年前に乾癬に罹患した経験から、乾癬の治療には様々な方法があることを伝えています。
ここには、自分に合った治療法を見つけることで、QOL向上につながるというメッセージが込められています。
その他、疾患啓発Webサイト「乾癬パートナーズ」内でのコンテンツ配信や、病院内へのポスターの掲出などを通じて、「見つけよう、あなたの乾癬治療」というメッセージを掲げ、乾癬に対する正しい理解の促進を目指しています。
東京タワーで「2024年世界乾癬デーイベント」が開催
世界乾癬デーの当日には、東京タワーでイベントが開催されました。日本で乾癬の認知度を向上させることで、患者さんを乾癬コミュニティにつなげる活動を行っているINSPIRE JAPAN WPDが主催したものです。
2024年10月26日(土)と27日(日)の2日間、東京タワーで行われた「2024年世界乾癬デーイベント」では、啓発ポスターや動画の展示が行われました。
また東京タワーの隣にあるスターライズタワーでは、皮膚科医による乾癬ミニレクチャーのほか、患者さんや乾癬の子を持つお母さんが登壇してホンネトークを繰り広げるトークライブも開催。
一人で悩んでいる乾癬患者さんが一人でも多くこのイベントに勇気付けられればいいですね。
QOLチェックシートやアプリでチェックも可能
ところで、乾癬患者さんは一人一人、QOLの状態は異なります。QOLを客観的に自己認識できるツールがWeb上には複数存在するため、セルフチェックが行えるようになっています。
例えば製薬企業のアッヴィ合同会社が公開している「乾癬のマイゴール」というWebサイトでは、患者さんが今の肌状態をチェックできる「症状チェックシート」が公開されています。これを利用して、今の状態をチェックすることができます。
また「DLQI: 公式アプリ」というスマホアプリも紹介されており、10項目の簡単なアンケートに答えれば、過去1週間にわたる自身の生活の質に対する皮膚疾患の影響を測定できます。
乾癬は近年、認知度が徐々に上がってきていることもあり、患者さんにとって過ごしやすい環境が整ってきています。まだ一人で悩んでいる人や、近くに乾癬患者さんがいる場合は、このような情報に多く触れ、患者さんの明るい未来を見つけ出すことができるような方向にみんなが向かっていければいいですね。
【参考】
アムジェン「乾癬パートナーズ」啓発動画
https://www.kansen-partners.jp/find-your-psoriasis-treatment-with-aya
INSPIRE JAPAN WPD
https://www.inspirejapan-wpd.net/
乾癬のマイゴール
https://www.da.abbvie.co.jp/psoriasis-mygoal/